抄録
建築物を長寿命化するには建築物の劣化防止が重要である。建築物外装における雨水の移動は部材の劣化に大きく関係する。本研究は,雨水流れを予測し、「劣化しやすい箇所」を見出すことで劣化防止に資することを最終目標としている。本報では、雨水を想定した水滴の建築材料表面における流下挙動を実験的に把握することを目的とした。また,建築物外装における雨水の移動は、材料の物性や形状に影響を受けると考えられる。そこで本報では、ぬれ性、表面粗さという物性に着目して、それらの雨滴の流下性状への影響を検討した。その結果,建築材料の表面仕上げによって表面粗さや方向性,ぬれ性などに違いが生じ,表面性状の差異や壁面の角度が液滴の流下距離や流下方向に影響を与えることを実験的に明らかにした。