抄録
1960年代から現在に到るまでの各種漁船の速力,および速力と密接な関係にある燃料消費との関連について統計的解析を試み,以下の結論を得た。 (1)遠洋底曳網漁船,マグロ延縄漁船,イカ釣漁船,カツオ釣漁船では1960年代, 1970年代, 1980年代と時代を経るに従い速力は高速化の傾向がみられる。 (2)1960年代の機関と比較して1980年代は機関の改良がさらに前進し,船型の改良,船底の平滑化,プロペラ効率の向上等が相まって燃料消費が軽減されていることが判った。その傾向は1501馬力以上の大型の機関で顕著で,遠洋底曳網漁船およびイカ釣漁船の解析によれば,燃料消費の軽減量は1日当たり約1.5トンにも達している。 (3)サケ・マス流網漁船は他の4種の漁船と異なり,その速力は1980年代が低速域での使用となっている。また,1960年代と比較して1980年代は低速航行しているにもかかわらず燃料を余分に使用していることが判明した。