水産工学
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底びき漁業漁船員の人間工学的研究
久宗 周二木村 暢夫天下井 清
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ジャーナル オープンアクセス

2003 年 40 巻 2 号 p. 151-158

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抄録

漁船員の労働災害は全産業の8倍と被災率が高い。人間工学的には,多くの漁業労働災害が不十分な作業 環境に関連して発生している。本研究では,漁船労働で最も災害発生率が高い底びき網漁業を対象とした。 漁労作業時の作業者の作業動作をビデオカメラで記録して,作業安全に影響する作業者の動作分析を行い, 人間工学の観点から危険要因の研究を行った。底びき網漁船の作業者の位置,動線,作業姿勢を分析した。 作業動線の分析では,網を掛けている作業者が網の上を歩くことが観測され,この作業者の動きの範囲は広 かった。網の上を歩くことは海中転落事故を引き起こす場合があり,危険な動作である。この危険を避ける ために,作業者は手すりを使用するべきである。 魚の選別,箱入れ作業では,不自然な作業姿勢が見られ, 「つらさ指数」によって評価した。 80GTトロ ール船では,作業者は直接床に魚を置いたため, 「つらさ指数」 5以上と評価された。だが, 160GTトロー ル船のように, 2層デッキでベルトコンペヤを使用するならば,前屈の作業姿勢が減り, 「つらさ指数」は 3まで減少すると考えられる。

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© 2003 日本水産工学会
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