日本水産工学会誌
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刺網・桁網の漁獲選択性と漁獲効率に関する水産工学的研究
梨本 勝昭
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2005 年 41 巻 3 号 p. 181-188

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抄録

漁業生産活動を通じて得られる漁獲情報を基に来遊魚群の量的,質的な評価を行うことは常に求められている。使用する漁具の漁獲特性を予め十分明らかにしておくことが重要である。受賞対象となった一連の研究は刺網・貝桁網漁具の漁獲特性を漁獲の過程から捉えて,対象生物,漁具の物理的視点より水産工学的に研究を展開して,漁獲選択性,漁獲効率などに関して究明したものである。刺網では産業的に重要な北洋のサケ・マス刺網漁業を対象に取り上げた。魚の罹網機構について漁獲の過程から捉えて,魚の遊泳力,網目と魚体の力学的諸関係から新たな漁獲選択性曲線を求める方法を考案した。そして,数値計算を行って漁獲選択性に影響する要因,網地目合,網糸直径,網糸弾性,魚種,魚の肥満度,魚肉の弾性,魚の雌雄について検討した。また,漁獲効率,目合と網糸直径,調査用刺網の目合と網糸直径についても究明した。貝類は一般に成長は遅く,充分な資源管理を行って利用することが強く求められている。貝を捕獲するのには桁網が多く用いられている。貝桁網漁具の漁獲特性を予め充分明らかにしておくことが重要である。北海道海域における砂に潜って棲息している潜砂性の二枚貝を捕獲する桁網を対象に研究を進めた。桁網の爪部分および袋網部分の選択性について注目して,それぞれの部分から貝が抜ける時の姿勢を三次元的に捉えて,貝の大きさ,爪間隔,網目形状,大きさとの関係から,両者の部分から抜けない確率模型を構築し,桁網の漁獲選択性曲線を理論的に求めた。また,砂の中に潜っている貝が爪に接触し砂面に持ち上げられる時の力学的条件から,最適な爪形状について究明した。さらに同じ仕様の桁網を二台前後に連結して同時に曳網することによって桁網の効率を精度良く求める方法を提案した。これらに関する一連の研究については報告されているので,ここでは,研究慨要の要点を論述する。

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© 2005 日本水産工学会
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