要旨:核内受容体は様々な脂質を天然リガンドとする転写因子で,ヒトではレチノイン酸受容体,ビタミンD受容体,性ホルモン受容体,副腎皮質ホルモン受容体,および甲状腺ホルモン受容体など48種類が同定されている。核内受容体の転写活性は,基本的には特異リガンドとの結合によって調節されているが,実際にはリン酸化などの翻訳後修飾も影響する。我々は最近,細胞間接着から核内受容体のセリンリン酸化に至る新規のシグナル伝達経路を発見し,これが幹細胞分化および子宮体癌と乳癌の悪性形質増強に寄与することを明らかにした。本総説ではその一連の研究を紹介する。