2017 年 15 巻 3 号 p. 95-98
【要旨】PAD 患者の治療の最終目標は QOL(症状)の改善と心血管イベントの抑制である.その目的を達成するために薬物療法は重要である.跛行患者と重症下肢虚血患者では治療の最終目標が異なる.跛行患者は症状の改善のためにシロスタゾールが効果的であり,心血管イベント抑制のために抗血小板剤(アスピリン,ADP 受容体拮抗薬)が有効である.重症下肢虚血患者は症状の改善のためにプロスタグランジン製剤は有効であるが抗血小板剤には予後を改善するエビデンスは明らかではない.PAD 患者全般に二次予防のためにスタチンによる LDL の低下,RSA 系阻害剤による降圧,HbA1c 7.0% 前後の血糖管理が推奨されている.