日本フットケア学会雑誌
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特集:末梢動脈疾患に対する薬物療法
創傷治療の多様化する治療法とその未来
高木 元宮本 正章清水 渉
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2017 年 15 巻 3 号 p. 112-115

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抄録

【要旨】近年増加している糖尿病や閉塞性動脈硬化症は,人口の高齢化もあいまってかつてなく増加しており,その結果発症する末梢神経障害や末梢動脈疾患は,下肢壊疽・潰瘍の有病率も同時に増加させていると考えられる.抗生剤が無効な多剤耐性菌感染を合併すると標準的治療法では治癒困難な慢性創傷を生じ,難治性のため最終的に患肢の大切断に至る場合が多い.難治性潰瘍患者の加療は,治療抵抗性であるばかりではなく,外科的デブリードマンをはじめとする手術や毎日の創処置にかかる手間と時間は患者や医療関係者の長期に渡る負担となる.また治療経過中抗生物質耐性菌を検出する機会も多く,感染症悪化やその他の合併疾患による死亡率も高率であるため,各医療機関でも対応に苦慮しているのが実際と考える.このため,より簡便で有効性の高い治療法の確立が切望されている.日本国内における創処置の基本について述べ,使用される薬剤に関する最新のエビデンスを,世界的に信頼度の高く最も厳しいと言われるコクランレビューを参考に紹介する.また臨床応用についても解説する.

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