森林バイオマス利用学会誌
Online ISSN : 2436-3138
Print ISSN : 1349-9009
木材チップとバイオ炭を利用したタマネギ栽培:土質,生産性,および経済性を向上させる持続型農法
Labani Sharmin AkterSadanobu KatohIslam Mohammed Zahidul
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2021 年 16 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

歴史的に世界の農業の発展は,天然資源を基盤とした食料・栄養の確保よりも生産性を向上させることに主眼が置かれてきた。今後は,持続型農業を大規模に展開することが極めて重要である。そこで本研究では,効果的な持続型農法の開発を目的とし,木材チップ(スギ)とバイオ炭(木炭粉)の施用がタマネギ(Alliumcepa)の成長,収量,品質,および経済性に及ぼす効果を調査した。木材チップ,バイオ炭,有機肥料,アーバスキュラー菌根菌(AMF),およびグリオクラディウム根圏菌(GF)を用い,5種類の実験条件(T1:木材チップ,T2:木材チップ+AMF+GF,T3:木材チップ+バイオ炭,T4:木材チップ+バイオ炭+AMF+GF,T5:バイオ炭,全実験条件および無処理区に有機肥料施肥)を設定した実験圃場でタマネギを栽培した。その結果,T4試験区で,成長量,収量,土壌元素量,および収益性において,無処理区との間に有意な差が認められた。また,全ての試験区で栽培されたタマネギの硝酸態窒素含量は,慣行栽培と比較して微量で,糖度は高く,カルシウムおよびカリウム含量は高かった。さらに,純収益と費用便益比も最高値を示した。本研究結果より,木材チップおよびバイオ炭等を用いた混合資材は,タマネギ栽培において持続型農業資材として有効であることが明らかとなった。

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