2006 年 5 巻 p. 63-83
本研究では,複数の成長パターンが観察される林分での炭素固定量の予測手法を提示した.その方法は以下の通りである.まず,サンプル木の材積成長データに成長曲線をあてはめパラメータの推定を行い,推定されたパラメータの値を新たな観測値とする.この観測値に対してk -平均法に基づくクラスタリングを行いサンプル木の成長パターンを分類し,そのクラスター分割を考慮に入れた正規多変量線形回帰モデルをあてはめる.次に,回帰モデルのパラメータ推定値によりPredictive Akaike’s Information Criterion (PAIC) を計算し、PAICに基づき最適な残存木の成長パターンの分類とクラスターの個数を決定する.最後に,最適な予測モデルから残存木の成長曲線のパラメータの予測値を求め,残存木の将来的な炭素固定量の予測とその漸近1−α信頼区間を求める.