2007 年 6 巻 p. 115-128
本報告は日本の需給構造を 8 地域 (東北, 関東, 北陸, 中部, 近畿, 中国, 四国, 九州) に分け, 近隣の韓国, 中国と共に製材品需給の価格弾性値を比較検討し, それらを踏まえてサミュエルソンタイプの市場空間均衡モデル, JAFSEM (Japanese Forest Sector Model) を用いて, 今後の需給変化の特徴を提示しようというものである. 分析の結果, 国産材製材産地の九州地域と米材製材産地の中国地域は全般に供給に対する価格弾性値は小さく, それに対し大消費地の関東地域は製材品需要の価格弾性値が大きいことが分かった. また, 市場空間均衡モデルによるシミュレーションでは, 九州地域を除く日本の各地域では製材品需要が増え, その増加分は韓国, 中国から供給される可能性があることが指摘された.