血管内皮細胞に発現しているPECAM-1(CD31)は,細胞間接着部位に集積し,細胞外ドメインのホモフィリックな結合により内皮細胞間をつないでいる接着分子である.PECAM-1の細胞内ドメインには2つのチロシンリン酸化部位があり,内皮細胞に機械的刺激を加えるとリン酸化が起こる.このリン酸化はFerキナーゼによる可能性がある.リン酸化によりSHP2が細胞間接着部位に集積し,ERKキナーゼの活性化が引き起こされる.シアストレスによるERKの活性化にはPECAM-1とSHP2が必須である.抗PECAM-1細胞外ドメイン抗体でコートした磁気ビーズを用いてPECAM-1を直接引っ張ると,PECAM-1のリン酸化とERKの活性化が起きる.コントロールのポリリジン磁気ビーズではどちらも起こらない.これらの結果はPECAM-1がシアストレスセンサーとして機能していることを示唆する.