日本薬理学雑誌
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特集:薬理学における代替動物実験の展開
動物実験代替法研究の重要性とその課題
―薬理学会における動物実験の問題点―
大野 泰雄
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2005 年 125 巻 6 号 p. 325-329

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抄録
薬理学は薬物の生体作用とその機序を明らかにすることを主要な目的とする学問であり,そのための多くのin vitro試験方法が開発されてきた.一方,動物愛護の立場からも生命科学研究に用いる試験法をなるべく動物を使用しない方法に置き換え(Replacement),使用動物数を削減し(Reduction),動物に与える苦痛を少なくする(Refinement)という3Rの原則が求められている.1999年にボロニアで開催された生命科学のための動物使用と動物実験代替法に関する世界会議でボロニア宣言が採択され,3Rの原則を法律に組み込むこと,動物実験に関係する全ての者に教育や訓練を行う機構を設置すること,また,動物実験の科学的,倫理的妥当性を審査委員会で審査を受けるべきと勧告された.なお,薬理学会員の所属する施設での動物実験委員会の設置や倫理的な動物実験の教育には施設により差がある.第三者による評価が必要であろう.一方,動物実験代替法の開発とバリデーションを促進するため,EUではEuropean Center for the validation of Alternative Methods(ECVAM)を1994年に,米国ではInteragency Coordinating Committee on the Validation of Alternative Methods(ICCVAM)を1993年に設立した.わが国においても平成17年度予算で国立医薬品食品衛生研究所に代替法を中心とする新規安全性試験法を評価するための室が認められた.
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© 2005 公益社団法人 日本薬理学会
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