抄録
産学連携はイノベーション創出に有効な手段である.新規医薬品の創出に苦しむ製薬企業にとっても,アカデミアやバイオベンチャーから創薬シーズや開発医薬品の導入等,オープンイノベーションによる創薬が重要になっている.バイオベンチャーが少ない日本では,大学と製薬企業が直接連携する必然性が高い.大学に存在する最先端の基礎医学研究と病院における臨床知見を製薬企業の創薬技術と組み合わせることで,薬物標的の同定と臨床有用性が確認できる.本稿では,組織的包括的産学連携による創薬モデルとして,2007年から京都大学で行っているアステラス製薬株式会社との共同研究である「次世代免疫制御を目指す創薬医学融合拠点(略称:AK プロジェクト)」の研究・創薬開発・知的財産のマネジメントおよび研究体制について紹介する.