日本薬理学雑誌
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漢方治療薬によるアルツハイマー病の進行阻止への挑戦―その薬理学的基盤と臨床研究
『N陳皮はノビレチン単体の薬効を凌駕!』 ノビレチン高含有陳皮(N陳皮)の抗認知症作用と薬理学的優位性
山國 徹川畑 伊知郎
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2015 年 145 巻 5 号 p. 229-233

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抄録
超高齢化社会を迎えた我が国の高齢者認知症の人口は今や約462万人に上るともいわれ,認知症の克服は喫緊の国家的課題となっている.著者らはアルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)の克服のため,初期のADの分子的病態に注目してその進行を阻止する活性をもつ天然薬物の探索研究および薬理研究を進めてきた.本稿ではADにおいて臨床研究の取り組みがなされているノビレチン高含有陳皮(N陳皮)の抗認知症作用についてその薬理学的解析結果を解説し,ノビレチン単体に対する「N陳皮の優位性」に関するエビデンスを紹介する.また,認知症の周辺症状の漢方治療薬抑肝散加陳皮半夏について,N陳皮配合処方エキスの抗認知症作用の特徴を簡潔に解説する.本総説では生薬や漢方処方の抗認知症作用に関する薬理学データに基づいてこれらの薬剤のもつ「多成分系薬剤の優位性」を考察したい.
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© 2015 公益社団法人 日本薬理学会
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