日本薬理学雑誌
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特集:With/after コロナ時代の新たな薬理学教育I:遠隔教育の実践と課題
オンデマンド型授業の実践と課題
田中 智之
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2021 年 156 巻 6 号 p. 330-334

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抄録

COVID-19のパンデミックは大学における教育プログラムにおいても極めて大きな影響を与えている.オンデマンド型授業は,講義室における感染拡大を防ぐことを目的として,しばしば採用されている.オンデマンド型授業は一般に受講学生には好評であるが,その理由としては,繰り返し視聴できることや,寛いだ状態で受講できることがあげられる.一方,私たち教員側はビデオ講義を作成する上で学生からのフィードバックを受けることができないことがあるため,講義が十分に理解されているかをしばしば懸念せざるを得ない.さらに,多くの教員はオンデマンド型授業作成の初心者であり,講義作成に必要な様々なツールに習熟する必要がある.ここではオンデマンド型授業を作成する上でのTipsをいくつか紹介する.普段,板書で授業をしている教員には適切なペンタブレットと,コンピュータ上で授業を録画するソフトウェアが必須である.長時間のビデオ講義はファイルサイズが大きくなりがちであるが,通信環境を問わない快適なビデオ講義を提供するためには,ファイルサイズの圧縮ツールは欠かすことができない.学生が利用しやすい質疑応答のシステムを整備しておくことにより,学習効果を高めることが期待できるが,これは反転学習の導入にもつながる.対面授業をビデオ講義と組み合わせたブレンド授業は近年教育の分野で注目を集めている.COVID-19のパンデミックは,授業を振り返り,改善する良い機会になっているといえる.

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