日本薬理学雑誌
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特集:小児疾患治療薬の新たな薬物標的の探索
疾患モデルゼブラフィッシュを用いた治療薬剤スクリーニング
川原 玄理
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2021 年 156 巻 6 号 p. 355-358

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抄録

小型魚類であるゼブラフィッシュ(Danio rerio)が多くの研究領域においてモデル動物として使われている.ゼブラフィッシュは,飼育が容易で,多産であることから同じ遺伝背景を持つ個体を用いることが可能であり,発生学,遺伝学をはじめ様々な研究に適している.また,透明な胚や稚魚においては,発生段階において組織を直接観察することが容易なこともあり,発生学においても実験動物として活用されている.疾患関連研究においても遺伝性疾患のモデルとして多く活用され,初期発生,そして稚魚における表現型を,ヒトで見出されている症状と比較し,疾患モデルフィッシュとして解析されている.薬剤開発においては,薬剤スクリーニングに適したゼブラフィッシュの特性を利用し治療薬候補分子を探索するために応用されている.本稿では,治療薬候補のスクリーニングを目的とした疾患モデルフィッシュの開発,そして疾患モデルフィッシュを用いた薬剤スクリーニングに関して,筋ジストロフィーモデルフィッシュの例を中心に紹介する.

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