日本薬理学雑誌
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新規ジヒドロピリジン誘導体F-0401の薬理作用(1)作用機作
加瀬 則子高崎 和彦東出 康志田村 典彦李 文昇山浦 哲明大西 治夫
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1993 年 101 巻 6 号 p. 363-374

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抄録
F-0401は血管拡張作用と血小板凝集抑制作用を兼ね備えた新規合成ジヒドロピリジン(DHP)誘導体である.今回はF-0401の作用機作を検討し、以下の成績を得た.F-0401はラット心筋膜分画DHP受容体への[3H]ニトレンジピン結合を阻害し(Ki値:2.2×10-7M),ウサギ大動脈およびモルモット盲腸紐標本においてCaCl2収縮を抑制(pA2値:7.7,6.6)したことから,既存DHP誘導体と同様にCa2+拮抗作用を有することが示唆された.一方,F-0401は既存DHP誘導体と異なり,ヒト血小板ミクロソームのトロンボキサン(TX)A2合成酵素阻害作用(IC50値:2.5×10-7M)とウサギ血小板への[3H]platelet activating factor(PAF)特異的結合に対する阻害作用(Ki値:1.4×10-8M)を示したが,ラット血小板由来のcAMPおよびcGMP特異性ホスホジエステラーゼ(TypeIVおよびV)に対する阻害作用は,既存DHP誘導体同様軽微であった.従ってF-0401の血小板凝集抑制作用はTXA2合成酵素阻害作用とPAF拮抗作用に依存して発現することが示唆された.以上のことから,F-0401はCa2+拮抗作用発現量で,TXA2合成酵素阻害作用およびPAF拮抗作用を有する,新しいタイプのDHP誘導体であることが明らかとなった.
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