日本薬理学雑誌
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ニンニク抽出成分Scordininの薬理学的研究(I)
鈴木 守本好 捷宏
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1966 年 62 巻 3 号 p. 105-114

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抄録

百合科Allium属植物ニンニクより水成分画に抽出した配糖体Scordinin CB (Sc)の一般薬理作用を検討した.
1. Seのマウスにおける皮下および腹腔内注射によるLD50は12.5g/kg,経口投与によるLD50は15.1g/kgであった.
2. Scは摘出ウサギ回腸の緊張を上昇すると共にその運動を促進し,摘出モルモット回腸を収縮した. BenaはScのウサギおよびモルモット回腸収縮作用を抑制するに反し, Atrは抑制しなかった.
3. Scは摘出ウサギ耳殻血管灌流実験において流出量を減少した.
4. Scは摘出ウサギ心房標本の運動を抑制し, EsはScのこの作用を増強した.
5. Sc静注はイヌおよびウサギにおいて一過性の血圧下降作用を示した. Scの血圧下降作用はBenaおよびAtrによって抑制され,両側迷走神経切断後は著しく減弱し或いは一過性に消失した. Sc前処置はACh静注または頸部迷走神経電気剌戟による血圧下降に影響を与えなかった.さらにScの血圧下降作用はEs前処置によって有意的に増強されなかった.
6. MeはSc静注による嘔吐ならびに血圧下降を完全に抑制した.
7. Sc静注はイヌおよびウサギの呼吸を一過性に増大ならびに促進した.

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