日本薬理学雑誌
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ラットのオペラント行動に対する1-Methyl-5-(o-fluorophenyl)-7-chloro-1,3-dihydro-2H-1,4-benzodiazepin-2-one(ID-540)の作用
福島 英明岡 俊晴浅見 幸男北川 純男
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1976 年 72 巻 8 号 p. 1033-1044

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抄録

行動薬理学的特性を見い出す目的で,ラットのオペラント行動に対する1-methyl-5-(o-fluorophenyl)-7-chloro-1,3-dihydro-2H-1,4-bcnzodiazepin-2-one(ID-540)の作用を検討し,diazepamの作用と比較した。条件づけスケジュールとしては定時間隔(FI-60sec)と低頻度差別(DRL20sec)食餌強化スケジュール(ともに正強化),シドマン型条件回避スケジュール(負強化)およびコンフリクト・スケジュールの4種を用いた.FI-60secスケジュールにおいて,ID-540,diazepamともに4mg/kg以下の投与量で投与初期に反応促進,8mg/kg以上の投与量で反応抑制という2相性の作用を示した.作用の持続はID-540の方がdiazepamより長かった.DRL20secスケジュールでは反応の促進はみられず,大量投与で反応数および強化数とも抑制され,時間弁別能の乱れがみられた.シドマン型条件回避反応は,ID-540,5mg/kgの経口投与によっても反応数・被ショック数とも影響がみられず,ID-540にneuroleptic様の作用は認められなかった.ID-540を2mg/kgと2,5mg/kgをそれぞれ10日間連続投与しても,FI-60secとシドマン型条件回避スケジュールの反応数には変化がみられなかった.コンフリクト・スケジュールにおける罰期の反応をID-540は0.0625mg/kg(i.p.)で増加させ,0.5mg/kg(i.p.)投与時にその効果は最大となった.一方diazepamのコンフリクト・スケジュールにおける罰期の反応を増加させる作用は4mg/kg(i.p.)投与時が最大で,ID-540とdiazepamのコンフリクト行動に対する効力比は約8対1と推測された.

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