日本薬理学雑誌
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新規抗喘息薬 Flutropium bromide の連続適用による気道反応性および肝薬物代謝酵素系に及ぼす影響
水野 博之川畑 信夫大野 洋光三澤 美和
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1989 年 93 巻 6 号 p. 333-340

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抄録
抗喘息薬として開発された四級アンモニウム塩構造を有する atropine 誘導体 flutropium bromide の反復吸入適用による気道反応性への影響をモルモットでの acetylcholine(ACh)誘発気道収縮に対する抑制作用を指標にして検討した.また,flutropium bromide の連続静脈内投与による肝臓の薬物代謝酵素系への影響をラットでの肝重量,ミクロゾーム蛋白量,チトクローム P-450量,アニリン水酸化活性およびアミノピリンN-脱メチル化活性について検討した.flutropium bromide 0.03%溶液の1回吸入適用は,AChによる血圧下降に対して影響を与えることなく ACh 誘発気道収縮を抑制した.この溶液の1日1回5分間,14および28日間無麻酔・無拘束下での反復吸入適用は,1回吸入適用の場合と同程度に ACh 誘発気道収縮を抑制した.この時,28日間の反復吸入適用による体重変化は認められなかった.また,肝薬物代謝酵素系に対しても上記指標において何等影響は認められなかった.以上より,flutropium bromide の反復吸入適用は気道における反応性の低下および蓄積効果を引き起こすことなく,また,肝薬物代謝酵素系に対しても影響を与えることなく気管支拡張作用を維持することが示唆された.
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