抄録
口腔と鼻腔が結合した日本語母音/a/発声のMRIデータから作成した鼻腔付き3
次元声道形状モデルとこのモデルから鼻腔を取り去った鼻腔無しモデルの音響特
性を,声道壁および鼻腔壁を剛壁あるいは軟壁のどちらかを仮定してFEMを用い
て伝達特性およびアクティブインテンシティを計算した。壁が剛壁の場合の鼻腔付きモデルの伝達特性のみに見られるピークは, 軟壁の場合には見られなくなった。鼻腔付きモデルと鼻腔無しモデルの伝達特性のピーク周波数の差は剛壁の
場合よりも軟壁の場合の方が大きかった。壁が軟かくなることで,第1および第3ピーク周波数は実音声のホルマント周波数に近づいたが,第2および第4ピーク周波数では差が大きくなった。また,軟壁の場合のアクティブインテンシティのベクトル分布は剛壁の場合とは異なるものとなった。