抄録
現実世界には二部グラフで表現できる様々なネットワークが存在する。既に一部グラフのクラスタ分割問題はよく研究されているが、二部グラフについては殆ど前例がない。二部グラフのクラスタ分割問題は通常、一部グラフに変換して行っている。しかし、このアプローチはリンクの情報の欠損や、大きな計算量という問題を抱えている。
本論文では、二つのノード間の相違度を決定するコスト関数を定義する事により、二部グラフ分割問題を巡回セールスマン問題(TSP)の解を用いる解法を提案する。また、コスト関数を複数定義し、様々なランダムネットワークに対して適用実験を行い比較検証した。TSPの解法としては局所クラスタリング組織化法(LCO)を用いた。実験の結果、ノード間コストが高い部分を境界とする事でクラスタ分割ができた。また、コサインを基にしたコスト関数を用いれば他のコスト関数を用いるよりもよい分割ができることを発見した。