抄録
本文では,超音波による低位前方切除術のための腸の厚み決定法について述べる.低位前方切除術では,吻合器を用いた手術が行われる.この手術では,腸が吻合器により引っ張られて,厚みが薄くなりすぎると細胞が壊死するという問題がある.これを防ぐためには,手術中に腸の厚みを知り,腸の引っ張りを調整する必要がある.そこで,本文では15MHzの超音波プローブを用いた腸の厚みの決定法を提案する.本手法では,表面反射波と取得波形との相関係数を求めることによって、表面位置の決定を行う.次に,底面反射波の振幅値,底面反射波と表面反射波との相関係数,底面位置と表面位置との距離という3つの知識に関するファジィ所属度を用いて,底面位置の決定を行う.最後に,以上より決定された表面位置,底面位置を用いて厚みの算出を行う.実験の結果,5.09%の誤差率で厚みを測定することができた.