抄録
本研究では,状況に応じて変化する対話を通じて敬語を学習するeラーニングシステムを提案する.本システムは,前処理部,敬語処理部,対話処理部の3つの処理部と,敬語判定辞書,敬語解説辞書,シチュエーションデータの3つのデータにより構成される.前処理部では,入力文の形態素解析により単語を抽出すると同時に,状況の特徴から現在のステージで利用すべき敬語形式を決定する.敬語処理部では,敬語形式に基づき敬語の誤用判定と,正しい敬語への変換を行う.対話処理部では,ユーザの入力によりシチュエーションデータから適切な応答を決定し,出力する.本システムを実装し,被験者実験により学習効果を評価した.その結果,被験者により異なる対話結果が得られた.また,アンケート結果において敬語の学習効果,学習時間,解説について高い評価が得られたことから,本研究の有用性を確認できた.