抄録
従来の連想記憶モデルの多くは,記憶パターン間の類似度(相関)がどの2つを選んでも同じであることを仮定している.例えば,「リンゴ」と「バナナ」との類似度が「リンゴ」と「飛行機」との類似度と等しくなるように,それぞれの事物(概念)が脳内でコード化されていることを仮定していることになる.日常生活では類似性に基づいて認識,学習,判断などが行われることが多いことを考えると,概念は類似性を保存したパターンで表現されると仮定したほうが自然であろう.本研究では,概念が階層的に相関を持つパターンとしてコード化されることを仮定し,同じカテゴリー(上位概念)に属するパターン(下位概念)を連続的に想起する連想記憶モデルを提案する.