抄録
多くの文化遺産をもつ歴史都市では、災害発生時においても文化遺産を適切に守ることが必要と考えられるが、一方では幅員の小さい道路や袋小路など、災害時には道路ネットワークの機能が失われやすい地域が多く存在する。そのような地域において文化遺産防災を考える上では、監視カメラによって道路の被災状況を的確に把握し、緊急車両を適切に誘導するための道路モニタリングシステムが有効であると考えられる。本研究では、代表的な歴史都市である京都市の中心部を対象として、文化遺産防災のための道路モニタリングシステムの整備効果について検討をおこなう。このとき、対象となる文化遺産の分布や道路ネットワークの特性にもとづき、遺伝的アルゴリズムを用いた効果的な監視カメラの配置計画をおこなうことを検討する。効果的な配置計画をおこなうことにより、少数の監視カメラで高い整備効果を得られることを示す。