抄録
著者らは19チャネルの脳波計測装置を用いてひらがな認知過程の脳波を計測し,得られた事象関連電位をもとに3双極子による等価電流双極子推定(ECDL)法を試みた.その結果,先行研究によって推定されたWernicke野,Broca野にECDが推定された.更に,Wernicke野以後の潜時では前頭前野,左中前頭回など言語と記憶に関係する部位を経由してBroca野へ推移する傾向が確認された.また,Broca野にECDが推定された後の潜時では,再びWernicke野からBroca野へ至る脳活動部位の推移が確認された.これらの結果から,ひらがなの認知過程では言語認知過程の後に意味の確認を行う処理過程が存在すると考えられる.