我々は,災害時の避難と救助を支援するツールとして,避難者の動作を自動的に解析するシステムを開発している.災害時に,被災者は怪我や障害から歩行困難を生じている可能性が高く,早急な被災者の救援のためには,その避難者を瞬時に発見することが求められる.本研究では,特異値分解を用いて,歩行困難を評価する新たな手法を提案する.具体的には,歩行時の加速度による時系列データから,特異値分解を用いて歩行動作の特徴成分を抽出し,その特徴成分と歩行困難の評価から歩行の困難度を推定する.ここでは,被災者を想定して健常者の片足の膝関節と足首関節を拘束して,被災者の歩行困難を擬似的に発生させ,特異値によって構成される歩行困難平面によって歩行困難の識別を行うことで,本手法の有用性を検証する.