抄録
人間は学習を行うとき, 常に同じ知識表現を用いている訳ではない. 始めのうちは具体的な知識表現を用いるが, 学習が進むにつれて抽象的な知識表現を用いる様になる. 我々が従来研究してきたシステムは, 1つの知識表現を用いて推論しており, 条件を満たすとそれを異なる知識表現に切り換えることでそのような学習をシミュレートしていた.
人間の推論では, 類似したデータを多く持つデータに対しては抽象的な知識で推論するが, 類似したデータが少ないデータに対しては具体的な知識を用いるというように, データによって知識表現を使い分けていると考えられる. しかし, 従来のシステムはどのようなデータに対しても, 一律にそのとき用いている知識表現により, 推論を行っていた. そこで, 本研究では類似データの数に応じて異なる抽象度の知識表現を用いる方法を提案する. そのために, 与えられたデータ集合に対してクラスタリングを行い, そのクラスタごとに1つの知識表現を用いる. そして, 本手法と従来手法を比べてどのような変化がみられるかを調べる.