抄録
粒子群最適化(PSO)は,最適化問題における効率的な探索手法の一つである.近年,多目的最適化問題(MOP)が注目され,PSOをMOPに適用する研究も報告され始めている.一方,MOPの中でも,4つ以上の目的関数を持つ多数目的最適化問題(MaOP)においては,従来の多目的探索手法では探索性能が劣化してしまうことが問題点として報告されている.本稿では,MaOPにおける,PSOを用いた2段階探索法を提案する.提案手法では,1段階目は個体群を分割し,各個体群が単目的探索を行うことで,各目的関数及びパレート中心に特化した精度の高い解を得る.そして2段階目では,1段階目で得られた解を目標点としたPSOにより,パレート解の多様性を得るための探索を行う.本稿では,多目的実数ナップサック問題を定義し,本問題を用いて提案手法に対する検討を行う.