抄録
Lachman testは前十靭帯損傷(ACL)損傷を診断する徒手検査の1つである.検者はACLの損傷を指の感覚によって診断する.この診断は検者の過去の経験といった主観に依存している.しかしながら,非熟練者においては経験の不足から診断にはバラつきを生じる.また,熟練者においても,日々の知覚の変動によって,診断はバラつきが生じる.診断のバラつきは臨床成績に影響を与える.そこで,本研究ではこのバラつきを低減し,客観的な指標を与えるために,Lachman testの定量的測定装置を開発した.この測定装置は指サックの表面に圧力センサを配置する事で検者の力の知覚を数値的に計測する.一般的に圧力センサには校正が必要だが,指の太さの違いにより校正値が変化する.システムの精度を保持するためには,安定した校正方法が要求される.そこで本手法ではファジィコントロールを用いた指の太さに適合する校正方法を提案する.実験では成人男性の両手の校正に本方法を適用し,結果では低い応力値において高い精度を得ることができた.今後の課題は臨床現場におけるシステムの信頼性の評価である.