抄録
本研究は大規模な計測・解析システムを用いずに、人の持つ感覚的な計測手法(感性的な計測法)と指標植物を基にして身近な気候環境の様子を定量化し、その情報をもとに都市の微気候環境を可視化し、さらにそのモデル化を試みることである。指標植物として、街路樹に多いイチョウの葉に注目し、秋から始まる黄葉の進行状態を観測し、可視化することで自然や都市の微気候環境(とくに気温環境)の年次的な変化を分かりやすくとらえることができると考えている。さらに黄葉の進行の様子を数理的モデルとして構築することで他の微気候地域との関連も調べることが可能になると考えられる。2009年から2011年にかけて行った観測から、ロジスティック関数は黄葉の進行過程を表現する数理モデルとして観測値とよく適合することが分かった。