抄録
高齢者が生きがいをもつには,仕事など,外界との積極的なインタラクションが必要である.そのためには,高齢者の周囲に,働きかけようとすれば働きかけることができる存在が常時いる状態が望ましい.このような環境を構築するために,本研究では,人から理解され,働きかけを得ることで活用される存在として赤ん坊型のロボットを用いることを考える.人の赤ん坊には,(1)一方的なインタラクションが許される(周知の事実としてそのように認知されている),(2)何もできないという世話される対象の象徴である,(3)表情や音声による多様な情報発信が可能であることから,人からの働きかけを得やすいと考える.本稿では,赤ん坊型ロボットとの共生において,高齢者の意図的な働きかけが生起したかどうかを自然観察から評価する.