抄録
マルチエージェントシミュレーションでは,社会的相互作用における個人の異質性を容易に記述可能である.本研究では,経済的インセンティブ政策による通勤交通手段転換とクリーンエネルギー車両(CEV)への車両更新の効果を推計するために,マルチエージェント交通シミュレーションモデルを構築する.提案するマルチエージェント交通シミュレーションモデルは,エコ意識の社会的相互作用モデルとエコモビリティへの転換モデルで構成される.エコモビリティへの転換に関する意思決定に関しては,エコ意識とその局所的相互作用に加えて,社会的同調効果に影響される点をモデルで表現する.また,現実世界の社会的ネットワークのような通勤者エージェント間の関係をスモールワールドネットワークモデルで表現する.このマルチエージェント交通シミュレーションモデルにより,人工社会における通勤交通手段転換とCEVへの車両更新の状況の推移が観察可能となる.