抄録
現在,高度経済成長期に建造された構造物の老朽化が進み,診断対象の数が急激に増加している.橋梁も例外ではなく,日本の50年経過橋梁の数は2011年で全体の9%の約15,000橋だが2021年には28%に相当する44,000橋,更に10年後には53%にも上る84,000橋にまで増加する見込みである.その中で鋼橋の架設に利用されている高力ボルトも時間経過と共に緩みが発生するため定期的に点検する必要がある.しかし膨大な数の高力ボルトを点検するにはひずみゲージや超音波等を利用すると多くのコストや時間が掛かってしまう.この問題の解決方法として打音法を利用すれば低コストで危険を伴わず,簡便に作業を行うことが出来る.しかしこの方法は熟練者の勘や経験に依る部分があり,その熟練者の技術者が不足している.そのため非熟練者でも診断出来るよう,カオス理論を用いて打音データを分析し状態識別を試みた.