古文書を読むことは歴史学研究の基礎的作業である。古文書は「くずし字」で記述されていることが多く,その読解は熟練者であっても労力を要するものであり,文字認識技術を応用した古文書読解支援システムが提案されている。このシステムにおける古文書文字認識では,ノイズや欠損のない文字画像については比較的良好な認識精度を示すものの,保存状態が悪く,欠損やかすれのある文字画像については認識精度が低下する恐れがある。本研究では,装飾文字の認識に用いられる「SOMテンプレート」と呼ばれる手法を古文書文字認識に適用し,欠損等に対する認識精度の低下を抑制することを試みる。