日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集
第30回ファジィシステムシンポジウム
セッションID: MF3-1
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神経回路網活動パターン・レパートリーの安定性とその識別
*泉谷 圭祐伊東 嗣功箕嶋 渉周田 ありす工藤 卓
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抄録

ラット海馬分散培養系は脳の本質的な機能を保持しており,脳の情報処理機構の解明において,最も基本的なモデルとして有用である.本研究では,ラット海馬分散培養系の自発性神経活動及び誘発応答神経活動を計測し,クラスタリング手法を用いることで活動の安定性や周期性を見積もった.底面に64個の微小平面電極を備えた特殊な培養皿のMEDプローブ上にラット海馬分散培養を行い,自律的な神経回路網を再構築させた.自己組織的に形成した神経回路網の電気活動を64電極から計測し,活動電位スパイクを検出した.各電極のスパイク数を要素とする特徴ベクトルを作成した.細胞外液の温度に依存するが,神経細胞の活動電位の持続時間はおよそ2ミリ秒であり,その直後には約3ミリ秒の不応期と呼ばれる活動電位が発生しない時間が存在する.従って,発火可能最小時間が5ミリ秒となるので,時間窓幅は活動電位最小時間の5ミリ秒に設定し,その間の発火の有無を0-1で表現した.生成した特徴ベクトルに対してクラスタリング手法を適用した.その結果, 30分の計測で,クラスタ数が自発性活動では1000程度となり,誘発応答では600程度となった.しかしながら,高い出現率をもつクラスタに限ればどちらの活動においても15個程度のクラスタ数で安定していた.また,各時間窓ごとに特徴ベクトルの比較を行うことで,類似の活動を算出し,特定の活動に対応する特徴ベクトルの出現パターンを解析した.

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© 2014 日本知能情報ファジィ学会
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