抄録
意思決定者が直観に基づき与える一対比較値が互いに整合性がないことはよく知られている.区間AHPでは,各一対比較値が区間ウェイトの区間内のいずれかの実数値に基づいていると捉え,一対比較値を包含する最小幅の区間ウェイトが求められる.本研究では,区間AHPと同じ立場で,区間ウェイトを拡張してファジィウェイトを導くモデルを提案する.そのために,区間AHPを証拠の理論でのビリーフ関数に類似した区間ウェイトの下界に着目するモデルへと変形する.整合性が高い一対比較行列は,意思決定者がもつあいまいなファジィウェイトの高いメンバーシップ値に対応する区間ウェイトに基づいて与えられ,逆に,整合性が低い一対比較行列は,低いメンバーシップ値による区間ウェイトに基づいて与えられる.