抄録
近年,防犯カメラによる異常行動検出や車載カメラによる歩行者検知などの画像認識技術が発達し,人検出が盛んに行われるようになってきている[1][2].これらのシステムにはリアルタイム性が求められ,最近ではCPUよりも高速処理が可能なField Programmable Gate Array (FPGA)が注目を集めている.人検出などのパターン認識では識別器としてNeural Network (NN)が広く用いられる[3]-[6].NNは仕組みが単純であるため,FPGAへの実装が想定できる.そこで本研究では人検出システムの識別器としてNNをFPGAに実装し,リアルタイム人検出を行うことを目的としている.しかし,リアルタイム性を実現する上でNNの活性化関数の計算コストの削減が課題となる.現在NNの活性化関数としてSigmoid関数が多く用いられている.だが,この関数は指数関数を含むため計算コストがかかるとともにFPGAへの実装が難しい.そこで本稿では線形演算のみで構成された活性化関数を用意し,学習時間,識別率に差があるのかを検証する.今回,活性化関数としてSigmoid関数,Rectified関数,Linear関数を用いてシミュレーションを行う.