2024 年 20 巻 2 号 p. 61-75
本研究は,マインドフルネス瞑想(以下,MM)による心身への影響について明らかにするために,心理的側面には「心の健康自己評価質問紙」と「心理的ストレス反応測定尺度」の各質問紙を用い,身体的側面には染色体末端部「テロメア長」の変化に着目することで評価した.方法として,健常な成人男性を対象にMMを日常生活に取り入れた群(n=15,以下,MM群)と普段通りに生活を送った群(n=13,以下,統制群)における,90日間の実験中に生じた心身の変化について,実験前後のテロメア長と各質問紙の結果を比較することで検証した.結果,統制群と比較してMM群の方が実験後のテロメア長が有意に長く(p<0.05),心理的ストレス反応の合計得点が低く(p<0.05),主観的幸福感の差分得点の平均値が高かった(p<0.05).よって,MMの継続的な実践は,テロメア長の短縮速度遅延および心理的ストレス反応の低減ならびに主観的幸福感の向上に有効であることが明らかとなった.