主催: 日本知能情報ファジィ学会
会議名: 第34回ファジィシステムシンポジウム
回次: 34
開催地: 名古屋大学
開催日: 2018/09/03 - 2018/09/05
従来,人の推論には直感的推論と論理的推論の2種類があるとされる.これまでに直観的推論はベイズ推論に代表される確率的な手法により,論理的推論はTree探索に代表される記号的な手法により,それぞれモデル化されてきた.一方で,推論と脳部位とを対応付けた研究はあるが,脳の神経回路を考慮した論理的推論のメカニズムについて言及したものは少ない.そこで本研究では人の推論過程は直観的推論と論理的推論に明確に分かれているのではなく,一つの分散ニューラルネットワークのモードの切り替えによりモデル化されるべきであろうと考えた.検証は連想記憶モデルを用い,現在状態より関連する記憶を連想的に探索し,その記憶に価値を紐づけることで行動選択をする直観的推論を実現し,直観的推論にて見出された価値状態に対し,その利得に繰り返しバイアスをかけることにより論理的推論に見える動作を実現した.迷路探索シミュレーションでは,直観的推論に相当する確率的な行動選択と,論理的推論に相当する枝刈りを含むTree探索のような振る舞いが同一モデルのパラメータ変更により表出されることを確認した.