日本顎関節学会雑誌
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顎関節症の診療ガイドラインにおける“Patient Question”の系統的把握のための特定医療施設での患者・医療消費者予備的アンケート
木野 孔司杉崎 正志湯浅 秀道覚道 健治
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2010 年 22 巻 1 号 p. 9-14

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抄録
日本顎関節学会の「顎関節症に対する初期治療ガイドライン」作成委員会は,一般開業歯科医を受診する顎関節症Patient Question収集を目的とする予備調査として,委員会に属していない一般歯科開業医3名の施設において,受診した顎関節症患者へのアンケートを実施した。質問内容は年齢,性別,通院に要する時間,症状,症状に対する治療として興味あるもの(13の治療法から選択),その他希望する治療法(自由記載)であり,個人を特定できる情報は求めなかった。
その結果177名からの回答を得た。男性62名,女性115名であり,平均年齢は37.9±15.5歳(平均±1SD)であった。複数記載可とした症状記載では関節雑音が121例で最も多く,以下開口障害,筋痛,咀嚼時痛,関節痛の順であった。治療法の選択では開口練習76例が最も多く,以下マッサージ,マウスピース,安静,その他の選択はいずれも少数であった。
今回の調査によって,マウスピースによる治療が,患者間のかなり広範にわたって周知されていることが確認された。また,雑音に対する治療法の期待が大きいことも示された。この調査は日本顎関節学会会員である開業歯科医院において実施したが,今後,さらなる調査のためには調査手法,患者集団の設定を含めて,検討すべき問題が明らかになった。
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© 2010 一般社団法人 日本顎関節学会
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