日本顎関節学会雑誌
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スプリント療法後にdouble contour像が出現した顎関節における治療前後のMR画像所見の変化
矢野 圭介西川 慶一佐野 司岡野 友宏
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2006 年 18 巻 3 号 p. 181-186

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抄録

スプリント療法前後のMR画像を比較し, 下顎頭のdouble contour形成に関与する因子を検討した。Double contour像が認められた6関節 (患者5名) を対象として, 治療前後の関節円板, 下顎頭, joint fluidの変化をそれぞれ評価した。Double contour像の認められなかった残りの4関節についても対照群として評価を行った。Double contour像が認められた6関節はすべて治療前に関節円板の前方転位を認め, 一方, 対照群はすべて正常位置であった。治療後, double contour像が形成されたすべての関節に円板位置の改善が認められた。また, 治療前の2関節の下顎頭に認められたerosionは, 治療後にdouble contourの形成に伴って消失した。さらに, double contour像が認められた関節中4関節には治療前に多量のjoint fluidが観察されたが, 治療後にはそれらは消失または減少した。本研究は, double contourの形成に関節円板の位置の改善とjoint fluidの減少が関与する可能性を示唆するものであり, 今後の検討課題を提案する所見として扱われるものであると考えられる。

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