日本顎関節学会雑誌
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スプリント装着の有無がクレンチング時の脳活動に及ぼす影響
槙原 絵理鱒見 進一田中 達朗森本 泰宏吉野 賢一有田 正博八木 まゆみ
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2008 年 20 巻 1 号 p. 6-10

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抄録

顎関節症やブラキシズムの治療に用いられるスプリントの治療機序について検討するために, スプリント装着時, 非装着時の脳活動状態をf-MRIにより検討した。被験者は正常咬合の健康成人15名とし, 各被験者に30秒間の安静と30秒間のクレンチング動作を連続して3回行わせ, このタスクをスタビライゼーションスプリント装着時と非装着時の状態で行い, 各タスク時の脳活動変化をf-MRIにより観察した。スプリント非装着時におけるクレンチングによる活動部位は左側一次運動野, 両側運動前野, 両側補足運動野, 両側帯状回運動野, 左側前頭前野および右側視覚前野であった。スプリント装着により, 両側一次運動野の活動は均等化した。また, 運動前野, 補足運動野および帯状回運動野の活動は増加した。スプリント装着により左右咀嚼筋緊張の均等化などの現象が誘発され, 感覚野を介して最大噛みしめ発現における不必要な活動が抑制されたものと推察される。一方, 高次運動連合野である運動前野および補足運動野ではスプリント装着により活動の増加が認められたことから, 噛みしめ運動をよりスムーズに行い, 運動野の活動を減少させるように働き, 筋の効果的な収縮を促したと考えられる。

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