日本顎関節学会雑誌
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成人顎関節機能障害の検診
第2報 疫学調査について
成田 幸憲栗田 賢一石井 拓男外山 正彦小木 信美神野 洋輔湯浅 秀道河合 幹中垣 晴男
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キーワード: 顎関節機能障害, 疫学, 検診
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1992 年 4 巻 1 号 p. 26-36

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抄録

我々は一般歯科検診に付随して顎関節機能の状態および機能障害と日常生活への支障との関係についての検診を行った。検診項目は簡便を旨として, 最大開口域, 顎関節雑音, 顎関節部圧痛, 顎関節機能痛, 筋肉部圧痛の5項目の臨床症状の有無とそれらによる日常生活への支障の有無の問診とした。検診対象は18歳から60歳までの成人男女3348名で平均年齢35.2歳, 男女比は4.7:1であった。何らかの機能異常が認められたのは全体の20.5%に当たる686名で, 日常生活に支障がある者は40名 (1.2%) であった。5項目の臨床症状の出現率では顎関節雑音が最も高率 (15.3%) で, 痛みに関した症状の出現率は低かった。しかし, 日常生活への支障を感ずる臨床症状としては痛みに関するものがほとんどを占め, 雑音による訴えは一番少なかった。また, 日常生活への支障を訴たのは明らかに女性が多く, それも18-19歳と20歳代に強い傾向が認められた。顎関節機能の状態を障害の程度によって6段階に分類して評価したところ, 60歳の女性における平均障害度が一番高く, また障害度が高くなればなる程日常生活への支障度も高くなることが確認された。

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