日本顎関節学会雑誌
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日本語版マギル疼痛質問表による顎関節症患者の疼痛評価
第2報 病悩期間による痛みの表現数について
木野 孔司杉崎 正志上野 みゆき相良 成美天笠 光雄田辺 晴康
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1994 年 6 巻 1 号 p. 83-90

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抄録
日本人の顎関節症患者が訴える痛みの性質を理解することを目的として, 日本語版マギル疼痛質問表による評価を実施した。対象患者には第1報と同じく, 357名の顎関節症疼痛患者を用いた。
第1報において, 「おもくるしい」, 「つかれる」, 「わずらわしい」などの表現が多く選択されること, また, 痛みに対する感覚的表現には男女差はないものの, 男性に較べて女性では, 情動的表現を選択する割合が高いこと等を報告した。
本報告では病悩期間と疼痛表現との間の関連性を知ることを目的として検討した。病悩期間を1か月未満, 1か月以上6か月未満, 6か月以上に分けるとともに, 筋痛群, 関節痛群, 両者併存群の3群に分割し, 感覚, 情動, 評価的表現の平均選択数ならびにその当該群内における個々の表現用語の選択割合を算定し, 検討した。
その結果, 顎関節症の痛み全体としては, 1か月未満群より, 6か月以上群がいたみの表現を多く選択しており, とくに情動的表現が多く, 「つかれる」が特徴的であった。関節痛群では6か月以上群に感覚的表現が多く選択されており, 「ジーンと感じる」「おもくるしい」が特徴的であった。筋痛群では6か月以上群に情動的表現が多く選択されており, 「ひどく不快な」が特徴的表現であった。
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