日本顎関節学会雑誌
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顎関節腔内病変の診断における微細径ファイバースコープの有用性に関する検討
宮本 日出坂下 英明宮田 勝宮地 優子
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1994 年 6 巻 3 号 p. 396-404

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抄録

顎関節内障における関節腔内の病変を把握することは, 本症の治療法を検討し, 予後を知る上で重要である。今回われわれは, 微細径ファイバースコープを顎関節診断鏡として臨床応用し, その有用性について検討したので報告した。
(1) 微細径ファイバースコープは, メディカルサイエンス社製のMS-611Sを用いた。本ファイバースコープの外径は0.8mmであった。
(2) 局所麻酔下での顎関節腔二重造影断層検査と同時に施行できるため, 人体への侵襲も最小限に抑えられた。
(3) 本検査による上関節腔の観察において, 滑膜炎や線維化の診断については有用であった。また, 癒着の性状の観察が可能であった。しかし, 関節円板の転位, 変形および後部結合組織の穿孔についての診断は不可能であった。
(4) 下関節腔内の観察については, 上関節腔と比較して十分な視野が得られず改良の必要があると考えられた。
(5) 本検査において合併症は認められず, 安全な方法であると考えられた。

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