日本顎関節学会雑誌
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顎関節症における下顎頭骨形態変化の臨床的意義の検討
第2報: 臨床所見との関係
坂本 一郎依田 哲也櫻井 仁亨塚原 宏泰森田 伸依田 泰阿部 正人荒 昌晴小林 弘幸平 健人谷口 亘三井 妹美小野 富昭榎本 昭二
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1996 年 8 巻 1 号 p. 216-224

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抄録

下顎頭骨形態変化の臨床的意義を検討する研究の第2報として, 下顎頭骨形態変化と臨床所見との関係について検討し, 以下の結果を得た。
(1) 雑音所見も疼痛所見も示さない関節が, 166関節中32関節 (19.2%) にみられた。
(2) 雑音所見を示した関節は, 166関節中73関節 (44%) にみられ, そのうち約3分の2はクレピタスを示した。
(3) erosion (骨皮質断裂, 以下erosionと表記) では雑音所見を示す関節は少ないが, 疼痛所見を示す関節が最も多かった。
(4) 2種類以上の骨形態変化がみられる関節では, erosionを合併すると疼痛所見を示す関節が多くみられた。
(5) 以上のことから, erosionは, なんらかの原因で関節内の平衡関係がくずれたときに, 比較的早期の反応性の変化として疼痛, 特に顎関節痛を合併して最も出現しやすい骨形態変化である可能性が考えられた。

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© 一般社団法人日本顎関節学会
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