抄録
Kitamura et al.(1993)によって報告された新しいタイプのセクター構造を示すざくろ石が,三波川変成帯四国別子地域の3カ所の露頭で見つかった。露頭はいずれも東平岩体北側の灰曹長石雲母帯に位置する。セクター構造を示すざくろ石は,結晶片岩に挟まれる石英に富むピンク色の薄層から見いだされた。
それらのうちの一つの層では,セクター構造を示す細粒のざくろ石(粒径約0.1 mm)と,やや粗粒のざくろ石(粒径約0.4 mm)が見いだされた。それらの組成累帯構造の比較から,セクター構造を示すざくろ石の成長時期は三波川変成作用の最後の時期と推定された。
セクター構造を示すざくろ石の成長は,三波川変成帯へ東平岩体が定置されたことに起因するかもしれない。