岩鉱
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論説
兵庫県,平木鉱山における熱水性カオリン鉱床の地質学的及び地球化学的研究
ココ ミント渡辺 洵
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1995 年 90 巻 9 号 p. 310-326

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抄録

平木カオリン鉱床(兵庫県加東郡社町)は,白亜紀末の流紋岩質火山砕屑岩中に胚胎する。層状鉱床である。鉱山及びその周辺では,層序的に下位より上位へ,流紋岩溶岩,これと整合的に流紋岩質平木非溶結凝灰岩(=鉱床胚胎層準),木層と不整合に流紋岩質平木溶結凝灰岩が重なっている。非溶結凝灰岩層は,選択的に強い変質作用を受けた結果,ほぼ全域にわたってカオリナイト—石英帯(厚さ約100 m)となっている。上記3層準の岩石試料中の主成分及び微量成分についてXRF法により分析した結果,これらはすべてアルカリに乏しい過アルミナ質であり,且つ鉱床は単一のprecursor(=平木非溶結凝灰岩)の変質により生じたものであることが明らかとなった。物質移動についての計算結果は,次のことを示している:(1)カオリナイト—石英帯(鉱化帯)では,30∼40wt% SiO2の添加, Na2O, K2O, CaO, Fe2O3及びMnOの溶脱,(2)絹雲母“帯”ではFe203とK2O,緑泥石“帯”ではFe2O3が局所的に濃集,(3)微量成分の巾ではZrとNbが最もimmobileである。

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© 1995 日本鉱物科学会
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